八洲建設では2023年に本社社屋のZEB化改修工事を行い、このプロジェクトによって東海エリアの事務所で初となる「既存建築物ZEB認証」を取得しました。
目次
エネルギー使用量をゼロに近づけるチャレンジ。ZEB化に向けた改修工事。
「ZEB」とは、「Net Zero Energy Building」の略称のこと。建物の活動(維持)にはエネルギーが必要なのですが、断熱性能の向上や設備機器の省エネ・効率化によってエネルギーを減らし、太陽光発電などで創エネすることで“エネルギー使用量をゼロに近づけようとする取り組みが「ZEB」と呼ばれています。2009年にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)を背景に、八洲建設では、これからの未来を見据えたSDGsアクションプランを若手が中心となって検討しました。そのひとつが本社社屋のZEB化プロジェクトでした。
ZEB化にあたり、補助金も有効活用。複層ガラスへの交換以外の工事について
「事業再構築補助金」を申請し、1回目は不採択。社内の協力を得て追加資料を準備し、2回目の申請でやっと採択を受けることができました。事業再構築補助金では対象外となっている発電設備などは、他の補助金を活用しました。高効率の空調機器に更新するとともに「全熱交換機」という熱を残したまま換気ができる設備を導入しました。コロナ禍だったのでエアコンをつけながら窓を開けるといったエネルギーロスが大きかったのですが、必要換気量の計算を行って交換機を設置しているので感染症対策にもつながりました。
照明は蛍光灯からLEDへ切り替えに加え、常に人がいるわけではないトイレや廊下には人感センサーを取り付けました。
太陽光パネルは屋上に設置済みだったので、駐車場に約30台分のソーラーカーポートを設置しました。

ZEB化によって生まれたさまざまなメリット
一部の社用車をEV化しました。ソーラーカーポートは屋根付きの駐車場なので、雨にも強く、夏に車中が高温になることも防げるなどのメリットも感じています。

また、以前のオフィス環境は、日差しの強い夏場は室内でも30度を超え、湿度も80%ほど。17時以降は節電のためにエアコンを止めていたので、なかなか厳しい環境でした。
ZEB化の改修工事を手がけた今はエアコンを心おきなく使えるため、オフィス内は常に快適な温度・湿度に保たれています。仕事の生産性も間違いなく向上していると感じます。
節電や省エネには『我慢する』という感覚が付きもののような気がしますが、環境に負荷を与えることなく事業活動できているという意識面でのストレスがないのもZEB化のメリットだと思います。
ZEB 認証取得の本社社屋における投資効果の総合評価を実施
本社社屋をZEB化してちょうど1年後、エネルギー・光熱費削減以外の効果であるNon-Energy Benefits(NEBs)を定量化する手法を用いて建物の総合的な価値を算定し、ZEB化に対する投資対効果の適正な評価を行いました。(NEBsの算出には、株式会社NTTファシリティーズとデロイト トーマツ コンサルティング合同会社が開発した評価手法を用いています。)検証の結果、1,100m2程度のオフィスビルにおいて、エネルギー消費量の削減効果は建物全体で1.4百万円/年、光熱費以外のZEB導入による生産性向上等の効果は建物全体で11.1百万円/年と推計されました。ZEB導入による生産性等の効果は光熱費削減効果の約8倍、また、エネルギー消費量のみの投資回収年数に比べ、Non-Energy Benefits(NEBs)を含めた投資回収年数は約8分の1まで短縮され、ZEB導入の潜在的な効果を適切に算定することで、ZEBに取り組むメリットを定量的に評価しました。
ZEB化を“難しい”で終わらせないために
ZEB化プロジェクトに関しては、自治体や大企業、金融機関など脱炭素への必要性を強く感じている方々から注目いただいていますが、ZEB化が中小企業の方々にも必要な時が必ず来ると思います。どうせやるなら早めにチャレンジできるよう、私たちもサポートしていきたいと考えています。また、光熱費などのわかりやすいメリット以外の生産性の向上や従業員満足度なども見える化を上手に行い、ZEB化の良さをもっと多くの方に理解していただきたいと思っています。改修におけるフルZEB(完全ZEB化)の事例もまだまだ少ないため、先を走る私たちの経験を未来にしっかりと役立てていきます。